2011年5月17日火曜日

"Goldfish and their culture in Japan まとめ"

Goldfish and their culture in Japan (1910) by Shinnosuke Matsubaraより
魚の種類以外に興味深かった記述

- 秋錦、朱文金、金襴子のうち、最も人気なのが秋錦、最も収益が出るのが朱文金であった。
- 金魚は帝国のどこでも飼育されているが、特に東京と大和郡山(奈良)で盛んである。
- 全体的に言って、ほとんどの人気種は東京と大和郡山で生産されており、その他の産地では、東日本では東京風、西南日本では大和郡山風の飼育方法がとられている。

- 東京の金魚文化
東京で飼育されている金魚はランチュウ、リュウキン、 デメキン、ワキンである。
東京でも大和郡山からオランダシシガシラが一度輸入されたが、人気が出ず今はほとんど飼育されていない。最も人気のあるのはランチュウで、金魚愛好家からの高い賞賛とブリーダー(この種を作ることに誇りを持っている)の関心を独占している。

-大和郡山の金魚文化
宝永年間(1704-1710)に佐藤三左衛門という人物が大和郡山で金魚生産を泥池で始めた。
大和郡山では主にオランダシシガシラ、ワキン、ランチュウが生産されている。
リュウキンは50年前は最も生産されていたが、オランダシシガシラにとって代わられた。
デメキンは全く飼われていないというわけではないが、注目されていることもない。

-大和郡山の金魚生産方法ー人工着色
郡山の金魚の背には様々な模様が人工的に付けられている。
模様を作りたい部分に希塩酸をかけるのである。
しかし、印章や花柄を作りたいと思っても、完全にうまくいくわけではないようである。
この人工着色は夏から秋の早朝に行われる。
魚が真っ赤な場合は脱色してしまい非常に醜くなる。また、頭部の色は変えられない。
人工着色の為には池の水を完全に入れ替えて餌を十分に与えなければならない。
魚が大きくなり太ってくると模様も鮮やかに浮き上がる。
この方式は随分前から行われている。

他にも具体的な飼育方法などが記載されていました。
上記の情報は1910年当時のことなのでご注意ください。
ということで登場した全品種の壁紙を作りました。(8:5のワイド画面用です。1920x1200)
他のサイズはまた後で作ります。

5/21追記:1920x1200の画像は上のタブの1920x1200 wallpaperから探してください
下の画像をクリックしても1600x1000pixelになります。









英語の本なので金襴子は金蘭子(Web検索ではこちらが多い)なのかよく分かりませんでした。
オランダシシガシラはWikipediaでは中国産とされていますが、本書では大和郡山産であると記載されています。イラストの姿と写真のオランダシシガシラは違っており、調べたところ長手(日本)オランダシシガシラと呼ばれる種類だと思われるので、日本で特殊化したオランダシシガシラとすれば間違いではないということになります。

後、交配の組み合わせによって必ずしも決まった変種が産まれるわけではなく、その後の選別をすることが必要であったということも誤解なきよう。

次回から別の本に移ります。